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2010年1月10日日曜日

2010年最初のオペは残胃がんの腹腔鏡手術でした

新年しょっぱなのオペは残胃に発生した早期癌に対する残胃全摘。初回のオペは3年前、やはり腹腔鏡下幽門側胃切除術をして、再建はデルタ吻合を用いた。2回目のオペなので癒着は当然予想し得た。ただし、これまでの経験から完全腹腔鏡下で胃切除をすると癒着は非常に少ない。とくに腹壁の癒着は皆無だ。これまで腹腔鏡下幽門側胃切除後の残胃の癌はこれで3例目だ。1例目は上腹部に5cm程度の小開腹をおいて胃切除を行う腹腔鏡補助下幽門側胃切除後(LADG)だった。やはり、上腹部正中の腹壁と横行結腸、残胃はかなり癒着していた。残胃小弯と肝左葉もベッタリと癒着。まあ、なんとか癒着を処理してまた上腹部に小開腹をおいて残胃を切除し、直視下にルーワイ再建をおいた。2例目は完全腹腔鏡下に幽門側胃切除を行った後、ルーワイ再建を行った症例。残胃全摘のために腹腔鏡手術を行った。驚いたことに腹腔内は残胃小弯と肝左葉間の癒着を覗いて全くくっついていなかった。結腸前のルートで挙上したRoux脚の間膜と結腸も全く癒着なしであっけにとられた。残胃切除後あとは食道空腸吻合を完全腹腔鏡下に行った。2回とも手術操作のための小開腹は置かずにオペは行えた。そして今回の3例目、前回がデルタだったので十二指腸と残胃の間の癒着がどの程度かがとても気になっていたが、なんと十二指腸後壁と膵の全面の癒着があまりなく容易に十二指腸は切離できた。やはり今回も難渋したのは肝と残胃小弯・・・。残胃小弯と肝は腹腔鏡下手術においてもとても癒着しやすいということが判明した。今回は腹部食道右壁側の癒着がつよく、食道の伸びも悪かったので完全腹腔鏡下に食道空腸吻合を行うことは容易でないと判断して心窩部に7cm程度の小開腹下に再建した。リニアーステイプラーでは食道剥離の距離を大きく取る必要があるためサーキュラーステイプラーを用いた。やはり、小開腹は視野が悪くとてもやりにく大変だった。腹腔鏡下にストレスなく安心して行える食道空腸吻合を早く開発しなければ・・と思う。リニアーステイプラーを用いた『デルタ吻合』、『オーバーラップ法』サーキュラーステイプラーを用いた吻合にもアンビルを入れるためにいろいろな方法が考案されているもののGold Standardはまだない。成熟するまでにはまだ時間がかかりそうだ。

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