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2010年1月11日月曜日

腹腔鏡下幽門側胃切除後+ルーワイ再建(LDG-RY)


ここ数年は胃がんのオペをすることが多くなった。今年3番目のオペもやはり早期胃癌に対する腹腔鏡手術を行った。今日で術後3日目だけど特に問題なく経過している。幽門側胃切除術を行う場合は再建方法がいろいろあるが僕の方法は歴史的には①残胃後壁と十二指腸吻合をCDH29(またはSDH29)で行ういわゆるLADG,つまり5cmの小開腹をおいていた時代、②残胃と十二指腸を小開腹を置かないで全ての手術操作を腹腔鏡下に行う方法。Billroth I型の再建ではリニアステイプラー(ETS45)を用いるいわゆるデルタ吻合、そして③残胃と小腸を吻合する残胃ルーワイ再建(Roux en Y reconstruction)の3種類を行ってきた。ヘミダブルもやってみていい方法だと思ったがすでに小開腹は置かないのは標準になったためその施行数は少ない。今では②と③を使い分けることが多い。今回はRouxY法で再建したわけだが理由残胃が小さいということと滑脱型食道ヘルニアがあるため今後の人生のQOLを考えてRYにした。RY法の欠点はオペ時間が長くなると言うことだ。この再建法の懸念材料としてRoux Y stasisという言葉をよく耳にするが、個人的には幸いこれまで1例も経験していない。また、利点としては縫合不全が少ないと言われているが、BillrothI法でもRY法でも1例の縫合不全もこれまた奇跡的にこの18年で経験していないので個人的にはこれもコメントできない。ただ、胆汁の逆流による残胃の炎症はないのでBillrothI法に比較してこちらが有利ではないかと思っている。再建は結腸前ルートの順蠕動。デルタ吻合、病的肥満のルーワイガストリックバイパスを始めた頃よりこのルーワイ再建も鏡視下に行っている。空腸空腸吻合、胃空腸吻合、腸管膜の閉鎖も鏡視下に。最初は修行のつもりでやっていたのだけれど、小開腹よりも手術がやりやすいことに気づいて、もう戻れない。胃空腸吻合は腹腔鏡下に空腸空腸吻合は”どうせ切除した臓器を取り出すのだから”という理由で直視下に縫合することもあるかと思うがこの部分こそ”明日のために”腹腔鏡下に縫合したほうがいいと思っている。また、腸管膜の閉鎖にしても5cm弱の小開腹からだと出来るけど少し窮屈に感じている。今のところこの方法に慣れているし問題はないけれどベストとは思っていない。これからも柔軟に多くの知識や技術を吸収していけるようにしていきたい。

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